ドッグフードの注意点
リピーターの方が多いということから、いいものだろうと判断していただくしかないですね」サプリメントは、実際の治療にも使われる。
「アレルギーが、消化酵素をぽんと入れてやるだけで出なくなったりすることがあります。
というのは、その子には分解のエネルギーがあまりないと推測されるわけです。
じゃあそれはどうしてないのか、生まれつきなのか、精神的なものなのかということになる。
だけど消化酵素をあげ続けることで、アレルゲン検査では牛アレルギーと出ているけれども、牛が食べられるという日が来るわけです」S動物病院の手作り支援フードの製造を引き受けているのは、福岡にある人間の食材を扱っているメーカーだ。
S先生は言う。
「ほんとに小ロットしか発注できないですから、受けてくれるところが限られる。
それをおじやならここ、野菜ならここ、肉はここからという感じで、そのメーカーさんに材料を入手してもらって、乾燥させる機械などを使ってつくってもらっています。
ワガママもけっこう聞いてもらってます。
たとえば煮干しなんかは、かわいそうだけど生きたままの魚を乾燥ラインに乗せてつくってもらうとかね」トン単位で生産されるのがふつうの人間の食品メーカーでは、数百パックレベルの仕事では利益は出ない。
それが分かっていながら食材や製法には徹底的にこだわり、無理を通しているそうだ。
たしかに市場価格からすればどれもが高いということになるだろうが、「本当の価値を知れば、みんな格安ですよ」とS先生は言う。
ペットフードの市場価格を人間の食品のそれと比較してみる機会などない人には、思いもつかないことだろうが、人間の食材並みのものを使って、人間の食品よりも安く売り出すことがいかに難しいことか、一度想像してみて欲しい。
S先生は、自分がすすめる食材を使うことで犬がこんなに変わるということを体感して、それを機に飼い主たちが家族の食事を見直すきっかけにして欲しいと言う。
動物の健康を考えていけば、それは結果的に人間の健康を考えることにもつながるからだ。
新しい「食の常識」をうち立てる『愛犬のための手作り健康食」を書いた時点からくらべると、自分の考えは大きく変わったと「本を出した頃は、やはり栄養バランスが大事だと思ってたんですよ。
だけど最近、それはあまり重視しなくてもいいのかなと思ってます。
それと、食に唯一無二の解答はない。
ぼく自身、大学院で臨床やりながら食事はこうしてあげて下さいなんて言っていた人間なので、ずっと完全レシピというものが存在するものだと信じていたわけですよ。
だけど、それは状況によって変わるものだと」そうした「気づき」は、動物の身体全体を見て、飼い主さんの表情を見て、あげていくという今日のS動物病院の治療方法につながっている。
食に関する講演会で、先生は手作りを考える人たちに、栄養バランスにあまり固執しないで「もっと気楽に考えて欲しい」と伝えている。
最初から結論ばかりを追求する必要はない。
そう言うと、「肩の荷が下りた」と言われることが多いそうだ。
「人間の食べ物を食べさせてはいけない、という呪縛から逃れられない人って、けっこういるんですよ。
飼い主さんが、『お刺身をあげた』という話を獣医さんにすると、『ペットフードは、ペットが食べるために開発されたものです。
だから人間が食べちゃ駄目と書いてあるでしょ?お刺身は、人間用に売られているものですよね。
だからペット用ではないんです』なんて言われてしまう。
飼い主を一番惑わせているのは獣医師だったりするんです」なかには獣医さんに怒鳴られて、欝になってしまった人さえいるそうだ。
獣医師はサービス業であるとともにメンターでなければならない、と先生は言う。
きちんとしたコミュニケーション・スキルを身につければ、手作りを頭ごなしに否定するようなことにはならないはずだ。
今後の目標としては、犬に関していろいろ言われてきたことを真贋取り混ぜて検証し、新しい「食の常識」をうち立てたいとS先生は考えている。
「動物というのは、置かれた状況しだいでいろいろと変化するものです。
だから犬の食事とは『こういうものだ』なんていう括りは、ちょっと乱暴じゃないかと思いますね。
犬種によっていろいろ違うということも分かってきましたし。
肉がないと駄目な犬種と、肉なしでもいける犬種もある。
それをグッと突き詰めていけば、すごい研究ができるはずなんです」先生は最初の糸口として、全国に4000人いるS動物病院のメールマガジンの読者に呼び掛けて地域ごとに犬の血液検査を行ない、血液のサラサラ度を確かめることを始めた。
食と環境、そしてそれらと健康状態との関連性を調べていくという。
最初は高齢犬を対象に、人間でいうところの血栓症に焦点を当ててスタートする。
「科学的なデータが何もないというんだったら、じゃあぼくがっくりましょうと。
血液検査はその手はじめです」最終的には「手作り大辞典」みたいな本を出して、それを翻訳して海外にもどんどん出していきたいとも考えている。
また、人間の医療の現場から潰されてきた健康法や民間療法などのホリスティック的な医療を、もう一度動物で試してみたいという計画もある。
北陸の金沢に「S」という会社がある。
これは環境と健康をコンセプトに、お花屋さんやお米屋さんなどが出資してできたアンテナショップで、米なら無農薬・減農薬農法でつくられた米、パンなら無添加のパンという、こだわりを持った販売活動を続けている。
「S」が出しているのは、『G』という円形の乾燥フードだ。
見た目は昔日のボンボン菓子を煎餅状にしたものといったところだろうか。
同社・出版事業部のT編集長は言う。
「マクロピオティックという玄米を中心にした自然食療法が話題になったことがありますよね。
じつは、その第一人者と言われるHさんにお会いする機会があって、その先生から、『雑穀にはすごいパワーがある』という話を聞いて、そんなにいいなら、今のペットフードに代わる・…かつての味噌汁ぶっかけごはんのような形で基礎食材として使えるような雑穀はないかと探したわけです。
そうしたら長野で、オーガニックな五穀米のクラッカーをつくっているところがあった。
じゃあ、これをペット用にもつくってもらったらどうかと思ったわけです。
今はアレルギーや肥満の犬猫が多いですよね。
その解決にもなるはずだと」『G』は、お湯をかければお粥状になる。
それはTさんの言うところの昔の「味噌汁ぶっかけごはん」の進化形だ。
もちろん、それだけでは完全な食事とはいえないのでお肉や魚、煮込んだ野菜などと一緒に食べさせる。
1枚を細かく割っておやつとして与えてもよいし、お粥にすれば幼犬・幼猫から老犬・老猫まで食べさせることができる。
今は肥満気味の犬猫のダイエットや、アトピーなどアレルギーを持つ子の対策フードとして飼い主からの反応もよく、売れ行きも順調だそうだ。
さらに同社では、犬由来乳酸菌サプリメントの開発・販売を行なっている。
その開発経緯についてTさんは言う。
「最初は、竹炭を焼いている方から竹酢液を使った商品をつくれないかと言われたんです。
聞けば竹酢液はアンモニア臭の消臭に効果があるというので、じゃあペットの消臭スプレーにしましょうと提案したことが始まりでした。
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